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fragment

断片と断片の連想ゲーム

個人的趣味による「なろう小説」のススメ Vol.2

 

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だいぶ時間が空いてしまいました。二本目です。

 

■注意事項■

  • あまり展開を読んだりフラグを拾うのが得意でない
  • キャラ萌えの感性が非常に高い
  • ハーレム要素は主人公が魅力的なら肯定派
  • いじめと軽い虐待サバイバーなので似たような立場に共感しがち
  • 要素さえよければ展開の悪さもある程度無視できる(例えばリュック・ベッソン作品のLucyとか好きです)
  • グロとかリョナもいけるので蹂躙とか狂気に走る主人公も好き

こんな感じの特性を持っています。

 

 

では早速いきましょう。

 

#1. リアデイルの大地にて (著: Ceez)

"事故で半身不随となった“各務桂菜”は、ある日停電により死んでしまい、直前まで遊んでいたオンラインゲームの世界へ。 目覚めてみればゲームをしていた 時代より更に200年後? とりあえず生きていく為には何を成さねばならないのか。 ゲームだった世界で、手探りで進む彼女の前に立ち塞がる者は!?"

http://ncode.syosetu.com/n1247p/

 

感想:もう六年前の作品になるんですね。これは小説家になろうでかなり初期に読んだ小説です。「ゲームの世界に転生」というタイプの異世界転生小説で、主人公はその廃課金勢のトッププレイヤー。この辺りは当時だと割りとありがちな設定(有名ドコロだとログ・ホライズンあたりでしょうか)ですが、そこの世界観をうまい具合に活かせていると思います。ジャンルとしてはドタバタコメディ、というのがしっくり来るような。作風は六年前であることを加味してもやや古いようなところがありますが、それ以上にキャラクターの感情の豊かさや魅力などがあふれるようで、読み応えがあります。

  • 素直な心理描写:癖のない素直な描写で読みやすいです。無職転生やリゼロなんかの重めの話の箸休め的にも悪くはないかと。そして、その素朴さだからこそ物語の節々で出てくる人の暖かさをうまく表現出来ているように思います。
  • 愛おしいキャラ造形とそれらの巡り合わせ: これです。この作品の魅力はこれです。登場人物に常識人がどれだけいるのかというくらいに変だけど好感のもてるキャラクターがあふれています。そして、それらがイキイキと生きていて、コメディを繰り広げていくのがいいですね。個人的には、特に主人公の息子や娘との掛け合いがおすすめですね。

一癖も二癖もあるキャラクターたちがドタバタと賑やかに暮らしている様子が、素朴ながら素直な文体で描かれていく作品です。書籍化などはされてはいませんが、これは名作だと思っています。

 

個人的評価:4/5
ハーレム要素:ナシ
2010年11月開始、2013年1月完結

 

 

#2 死神を食べた少女(著:七沢またり

”死神を食べたらどうなるんだろう。
私には良く分からない。分かるのはたった一つ。
お腹がすいた。
だから、こいつらの首を持って偉い人に届けよう。
きっと美味しい物が食べられる。
さぁ、準備が出来たら出発だ。”

http://ncode.syosetu.com/n6316bn/

 

感想:こちらの作品は公開されたのは2012年ですが、知ったのは最近でした。ジャンルを端的に言うのならばファンタジー戦記モノですが、奇妙なマリアージュでこの小説はできているように思います。

というのも、ファンタジー戦記モノで”なろう”で有名なところだと、ウォルテニア戦記がありますが、軍略を緻密に描いた小説はどうしても固くなりすぎる印象があって、特になろうの小説に読み慣れてしまうとやや読む上で疲労を感じてしまうものです。しかしこの小説はその軍略上の話と同時に主人公サイドの描写がうまい具合に均衡を保ちつつも絡み合っているように思います。

奇妙なマリアージュというのはここです。主人公サイドの話は端的な軍略パートなのに対して、牧歌的とも言って良いような場面があります。しかしその下に狂気のレイヤーが敷かれていることは常に明確で、奇人が牧歌的な振る舞いをしているシュールな日常が繰り広げられていくわけです。そしてそれが血煙上がる戦場のなかで行われているのに、その奇人本人は英雄譚の中心人物なのです。この言葉にするといかにも奇妙なごった煮具合が絶妙な面白さになっているのだと思います。なろうの中では一番面白かった小説の一つと言っていいでしょう。

  • 英雄譚であること:英雄譚といっても、主人公であるシェラは決して人格者でも聖女のような人間でもありません。ただ食欲に魅入られた奇人です。食べるために人を殺し、名を上げるために敵を狩り、勝ち取った武勲は食事のためだけに使う。という人格破綻者そのものなのですが、しかし彼女の振る舞いは結果的に見れば英雄そのものであり、どうしても目を離せません。痛快さすらあります。
  • 人間臭いキャラクターたち:ではシェラ以外の登場人物はまともかといえば、そういうわけではありません。むしろ、浅ましく未練がましく人間臭さに満ちていて、だからこそ魅力的な造形をしていると思います。そしてそれらが裏切ったり殺されたり、この無常さがたまらないです。

軍略軍略と何度か書きましたが、端的である程度の硬さはあれど、緻密かというとそこまででもないと思います。しかしそれくらいだからこそ、上手くシェラの周りに渦巻く群像劇に映えるのだと思います。個人的には書籍版のイラストは好みではありませんが、まあ仕方ありませんね。

 

個人的評価:5/5
ハーレム要素:なし
2012年3月開始、2012年12月完結
出版済み

 

#3 蜘蛛ですが、なにか?(著:馬場翁)

"勇者と魔王が争い続ける世界。勇者と魔王の壮絶な魔法は、世界を超えてとある高校の教室で爆発してしまう。その爆発で死んでしまった生徒たちは、異世界で 転生することになる。クラスの中でも最底辺に位置する主人公は、よりにもよって蜘蛛の魔物として生まれ変わってしまう。ただ、異常な程に強い精神力で現状 を受け止め、割とあっさり順応してしまう。これは蜘蛛の魔物になってしまった主人公が、なんやかんやサバイバルして生きていく物語である。"

http://ncode.syosetu.com/n7975cr/

 

感想:主人公が奇人である作品というとこちらを出さないわけにはいきませんね。漫画化も書籍化もした作品ですが、奇妙なのにポップでキャッチーに殺伐としている作風が癖になります。

  • ゲームシステム型異世界:前の記事で書いたスライム転生と似ていますが、こちらもゲームシステムが世界規模で導入されています。とはいえ、こちらの原理はシナリオに深く関わってくるという点でスライム転生とは違います。
  • 手軽くノリも軽く:この小説は一話ごとがとても短いので本当にサクサク読めるのがいいところですが、サクサク読めすぎてやめるタイミングを測りづらいのも事実です。それでいて面白いので悩ましい。加えて、文体の軽さも魅力でしょう。異世界で転生してよりによって主人公は蜘蛛になってしまったわけですが、それでもこんな感じです。

    ” さて、私が蜘蛛に転生してしまったことは、とても遺憾ながら認めよう。
     認めはしたけど、このあとどうしよう?

     ボリボリッ!

     何やら不穏な音がする。
     うん。
     現実から目をそらせちゃ、ダメだ。
     私の目の前には私のおそらく兄弟と思われる蜘蛛軍団がいる。
     音を出すとしたら奴らしかいない。

    http://ncode.syosetu.com/n7975cr/2/

軽くてサクサク読めて面白いのに、冷静に考えるといつのまにか超展開を何度も越えているはずなのに軽く感じてしまう、という絶妙なバランスの小説です。主人公の頭の回転の速さも心地良いし、読んでて満足できます。

 

個人的評価:4.5/5
ハーレム要素:なし
2015年5月開始、未完
出版、漫画化済み

 

結果的に変わり者の女性主人公が三作揃うことになりました。

ではでは。